イラク戦争に派遣され、アメリカで映画のモデルともなったアメリカ海軍特殊部隊の元隊員が、南部テキサス州で同じくイラク戦争から帰還した元兵士に殺害された事件で、現地の裁判所は元兵士に終身刑の判決を言い渡しました。
この事件はおととし2月、アメリカ海軍特殊部隊「シールズ」の元隊員、クリス・カイルさんが、南部テキサス州で海兵隊の元兵士、エディー・ルース被告に銃で殺害されたものです。
殺害されたカイルさんはイラク戦争に狙撃兵として4回派遣され、160人を射殺した「伝説のスナイパー」と呼ばれ、カイルさんをモデルにした映画「アメリカン・スナイパー」は、先月から全米で公開され、興行収入の記録を更新するなど大きな話題を集めています。
カイルさんは軍を退役後、イラク戦争で心の傷を負う同僚の元兵士たちの相談に乗っており、ルース被告もイラクから帰還しカイルさんに相談していました。
裁判では、ルース被告側が精神的な問題を抱え、正常な判断能力がなかったとして無罪を主張しましたが、24日、テキサス州の裁判所は陪審員が有罪の評決を出したのに続き、終身刑の判決を言い渡しました。
アメリカではイラク戦争を経験した兵士の5人に1人がPTSD=心的外傷後ストレス障害に苦しんでいるとも言われており、アメリカがイラクで再び新たな戦いを強いられるなか、裁判の行方にも注目が集まっていました。 |