東京のバス会社の運転手の男性が勤務前のアルコール検査で基準値を超えたと指摘された3日後に自殺したことを巡り、遺族が労災認定を求めていた裁判で、東京地方裁判所は「検査が誤っていたのに会社は男性に伝えず、退職を強要するような対応をした」として労災と認めました。
この裁判は、平成20年に京王電鉄系列の東京のバス会社に勤めていた51歳の運転手の男性が勤務前に行うアルコール検査で基準値を超えたと指摘され、その3日後に自殺したことを巡り、男性の妻が国に労災認定を求めていたものです。
25日の判決で、東京地方裁判所の佐々木宗啓裁判長は「男性は6日前にも基準値超えを指摘されたことから、その後は懲戒処分を心配してほとんど食事もとっておらず、空腹時に発生するガスが誤ってアルコールと検知された」と判断しました。
そのうえで「会社は検査の誤りを分かっていたはずなのに男性に伝えず、退職を強要するような対応をした」と指摘して労災と認めました。
判決について、男性の妻は会見で「夫が亡くなってからは4人の子育てなど辛い時期もありましたが、ありがたいと思います。支援してくれた方々に感謝します」と話しました。
一方、京王電鉄は「裁判の当事者ではなく、判決の内容を詳しく見ていないのでコメントできません」としています。 |